【アニメレビュー】アトム ザ・ビギニング|ロボットアニメのレジェンド『鉄腕アトム』のプリクエル!《動画配信サービスで全話無料視聴!》
マンガ界でも指折りのストーリーテラーと個性派絵師による職人タッグが作り上げる、独自のアプローチによる歴史的名作『鉄腕アトム』のプリクエル!!
『アトム ザ・ビギニング』はマンガ界のレジェンド「手塚治虫」さんの『鉄腕アトム』を原案にした、アトムのプリクエル(前日譚)となる同名マンガのアニメ化作品です。
『パトレイバー』などで知られるベテランの職人マンガ家で、ストーリーテラーとしても名高い「ゆうきまさみ」さんが原作、主に原作付きのコミカライズで活動している「カサハラテツロウ」さんが作画を担当しています。
『アトム ザ・ビギニング』はこんなお話!
『アトム ザ・ビギニング』は、アトムの生みの親と育ての親である「天馬博士」と「お茶ノ水博士」の若かりし頃を描いた前日譚。大学でロボットと人工知能を開発する「天馬午太郎」「お茶の水博志」とアトムのプロトタイプともいえる「A-106」の活躍を描きます。
原作はまだ物語が進行中ですが、このアニメシーズン1では2人の大学での研究生活〜ライバル的な存在の「Dr.ルル」とロボットの「マルス」の登場〜ロボレス大会でのロボットバトルまでが描かれます。
原作シリーズ序盤〜「ロボレス編」までを1シーズンでアニメ化!
原作は『ウルトラマン』や『仮面ライダー』を始めとしたコミカライズ作品を中心に掲載して、高く評価されたりバッシングされたりしている、パチンコタイアップ雑誌「月刊ヒーローズ」の連載作品。
SFマインドの強いストーリーテラーとして、また設定/プロット職人としていくつものよく練られた完成度の高い作品を生み出してきた、ベテラン「ゆうきまさみ」さんと、やはりSFマインドとマニアックなコダワリを持ちアニメ的な萌えとは一線を画したカートゥーン的なセンスを持った「カサハラテツロウ」さんとのタッグということもあり、近年幅を利かせている旧作リブート系コミカライズの中でも一筋縄ではいかない作品です。
リメイク/リブート系では数少ない成功例!?
近年はマンガ業界のアイデアの枯渇もあって、歴史的名作のコミカライズ/リメイク/リブート作品が花盛りですが、「リメイクすればいいってもんじゃない!」と言いたくなるレベルのものも多数で、むしろハズレのイメージが強くなっています。
そんな微妙な作品も次々アニメ化されている状況なのですが、そんな巷にあふれるコミカライズ/リメイク/リブート作品のなかでは、この『アトム ザ・ビギニング』は数少ない単なる企画モノを超えた、いち作品としての面白さを持ったシリーズと言っていいでしょう。
初期数話はキャンパス舞台の学園モノ的な色合いが強く、やや単調で展開が遅い印象がありますが、中盤からシーズンのクライマックス「ロボレス編」はわかりやすいバトル要素が加わったこともあって、飽きさせない安定した面白さです。
『アトム ザ・ビギニング』は結局のところ面白いの?
『鉄腕アトム』そのものを期待すると肩透かしを食らうかもしれませんが、『鉄腕アトム』につながる要素や手塚ファンならわかるネタも巧みに散りばめてあり、のちの「天馬博士」と「お茶ノ水博士」の対立を感じさせる価値観の違いなどもエピソードに描かれているのも見所。
1シーズンだけなので完結には程遠いですし、あまり人気は出なかったようなので続編も難しいでしょうが、区切りのいいところで切っているのでシメ方としては悪くありません、
『鉄腕アトム』そのものにこだわらないキャパシティーの広いリスナーなら十分に楽しめる仕上がりなので、原作ともども一見の価値はありますし、個人的には、同じ『鉄腕アトム』リメイク作である浦沢直樹さんの『PLUTO』よりも、はるかに野心的で完成度の高い作品だと思います。
【アニメレビュー】メガロボクス|『あしたのジョー』50周年記念作品!《動画配信サービスで全話無料視聴!》
『メガロボクス』は、「ちばてつや」さんのペンによる歴史に残るボクシングマンガの名作、『あしたのジョー』の連載開始から50周年を記念して、その『あしたのジョー』を原案に大胆なアレンジを加えたSF格闘バトルマンガです。
『メガロボクス』はこんなお話!
貧富の差が拡大して都市部とスラムに完全に分断された未来世界。地下メガロボクスのレベルの低さとイカサマに飽きあきした通称「ジャンクドッグ」は、表のメガロボクス王者「勇利」敗れたことをきっかけに、表のメガロボクス界に打って出ようと考える。
ひと山当てたいトレーナーの南部贋作(丹下段平)と思惑が一致したことで、非正規ルートで「ジョー」と言う名の市民IDを手に入れたジャンクドッグは、最短期間で世界王者決定戦メガロニアに出場するため、ギアをつけずに素手で戦う「ギアレスジョー」というギミックでランキングを上げていく…。というお話。
賛否両論のSF格闘バトルアクション!
話では海外ではかなりの高評価を得たということですが、日本では原作の『あしたのジョー』がレジェンド作品としてカリスマ的な存在ということもあり、賛否両論に分かれているようです。
賛の方は…
●最近のアニメの中では骨太で丁寧な気合の入った作画。
●高度成長期の暗部との対比で現代の格差社会を反映させたディストピア的世界観。
●「あしたのジョー」に対するオマージュいっぱいのリスペクトあふれる作風。
●ラップでのシチュエーション解説などストリート感覚あふれたオチャレ過ぎる演出。
否の方は
●ビジュアルイメージ優先で設定上もまったく意味の無い「ギア」の存在。
●テーマの「メガロボクス」自体の競技として突っ込みどころだらけ。
●全体的に雰囲気重視で穴だらけのザル設定な上に中身が無い。
といったとことろですが、個人的には否の意見の方が納得できる点が多いですね。
中でもやはり気になるのは「メガロボクス」競技と「ギア」の設定です。
このメガロボクス競技は、スピード・パワー・パンチ力・殺傷力を何倍にもアップさせる「腕だけパワードスーツ」の強化外骨格『ギア』を身につける一方、防御のためのプロテクターは装備せずに生身で殴り合うという、なんともエクストリームなトンデモ格闘技。
まあ、これはディストピアならではの人命軽視と考えて納得させることができなくもありません。問題は主人公が注目を集めてランク戦を組みやすくするために、ギア無し生身の「ギアレスジョー」ギミックで戦うことです。
このおかげで、それぞれのギアの個性を生かした戦法や駆け引のような、この設定からいちばん期待されると思われる、「メガロボクス」という競技ならではの容姿がすっかり抜け落ちてしまいました。
ギアVs.ギアレスの戦いで武器持ちVs.素手のようなギリギリの緊張感を演出できればまだいいのですが、普通の殴り合いとたいして変わらない描写なので、「ギア」の存在感が全く感じられません。
メガロボクスの舞台やギアバトルの設定は、同じディストピアが舞台のサイバーSF『銃夢』あたりをヒントにしていると思うのですが、あそこまで設定とバトル演出にこだわっているわけではなく、単にビジュアルの雰囲気だけでしか無いので、この作品のキモとなる「メガロボクス」存在が完全に消え去っています。
結局『メガロボクス』はオモシロイの?
好意的に見るなら、もしかすると穴だらけで矛盾だらけの設定やうすっぺらい演出も、整合感より雰囲気重視で勢いだけで突っ走っていた昭和劇画に対するリスペクトなのかもしれません。
考えてみれば、もとになった『あしたのジョー』自体が、梶原原作だけにボクシング/スポーツ漫画としてはかなり突っ込みどころ満載で、それよりもキャラの生きざまやミームになりそうな小ネタで人気を集めた作品でした。
そういう意味では確かにある面においては原作リスペクトとも言え、それを狙った説も真実味を帯びてきます。となると。惜しいのは「鼻からうどん」シーンが無いことでしょう。このシーンさえあればさらに評価が30%は高まったはずなので残念ですね!
結論としては、雰囲気は悪く無いので、深く考えない人や作劇/設定の矛盾よりもノリを重視する人なら十分に楽しめると思います。またヒマつぶしとしてや何かをしながら見るには最適な作品といえます。
【アニメレビュー】『おそ松さん』に続けるか? 傑作ギャグ漫画の最新アニメシリーズ!【深夜天才バカボン】を全話無料視聴!《動画配信サービス》
『深夜天才バカボン』は国民的ギャグ漫画「天才バカボン」のアニメ化作品。原作者の赤塚不二夫さんが亡くなって以来初のアニメ化で、通算5作目となるシリーズです。
現在的なポップなアレンジとメタネタも多用するなど比較的攻めたギャグで、アニメシリーズが記録的大ヒットとなったのが、同じ赤塚不二夫さん原作の『おそ松さん』。
その勢いに乗っかってひと山当てようとばかりに、なんと前回のアニメシリーズ『レレレの天才バカボン』から18年ぶりにテレビアニメされました。
絵柄も原作に近いタッチながら『おそ松さん』のようにポップな色使いで、古臭さを感じさせない絵作りににしようとしています。
『深夜天才バカボン』はこんなお話!
あらすじなんか語っても意味ないんですが、クレージーなバカボンパパを中心に、のんきなバカボン、天才幼児のはじめちゃん、包容力の塊バカボンママのバカボン一家を中心に、レレレのおじさん・ウナギイヌ・目玉つながりの本官さんといったおなじみのキャラクターが、ドタバタやナンセンスなど様々なスタイルでお笑いを繰り広げるギャグ漫画です。
『深夜天才バカボン』制作の契機になった大ヒット作『おそ松さん』!
さて、どうあがいても同じ原作者に同じテレビ東京の深夜枠ということで、引き合いに出されるのは避けられない『おそ松さん』。
個人的にもそれなりに楽しんでは見たのですが、同時期にヒットした『ポプテピピック』も同様に、世間の高評価ぶりはやや過大評価が過ぎる印象を受けましたし、それほど斬新な作品とも思えませんでした。
『おそ松さん』にヒットは、深夜枠ならではのターゲットの年齢層を上げた下ネタや自虐ネタを交えたややエッジの効いた風のギャグに加えて、よく言われる女性ファン受けのいい人気声優勢ぞろによる芸人コント的なやりとりのわかりやすさが大きな要因だと思います。
それなりに楽しんで見ていたのですが、『シンプソンズ』や『サウスパーク』などの本気で全方位的に攻めまくった米国カートゥーン系の大人向けアニメに馴染んできた人には、それほどの斬新さは感じられないものです。
『深夜天才バカボン』は『おそ松さん』に追いつけるのか?
もはや完全に沈静化してオワコン化している『おそ松さん』も、当時はさすがに社会現象とまでいうのはあまりにもおこがましいですが、キャラグッズやタイアップグッズも売れまくりで勢いがありました。
流れ的にも企画的にも二匹め決めのドジョウ狙いとしてなのは間違いありませんし作り手もそれを隠していません。それだけに注目を集める反面、リスナーの見る目や評価基準がシビアになるのは免れないとことですね。
『深夜天才バカボン』の実験的作風は過去の名作に挑めるレベルなのか?
スタイル的にはキャラクター主体のドタバタギャグに終始していた『おそ松さん』と比較すると、『深夜天才バカボン』はより実験的な作風になっています。
『デッドプール』人気に便乗したようなメタ的なギャグや『ポプテピピック』のような声優ギャグから、絵柄チェンジギャグ・別の作品キャラを使ったパロディギャグもあり、また俳優やミュージシャンなどが本人役としての登場するなど、なかなか多彩で攻めた内容を見せつけようとしています。
もともと原作自体がナンセンス・パロディ・メタ・実験ギャグとなんでもありだったわけで、ある意味では原作の方向性にリスペクトしているといえるかもしれません。これで面白ければ最高なんですよね!
しかし、それも今ではメタギャグや実験ギャグのマンガとしては、赤塚さん以降にも「唐沢なをき」さんという実験マンガの金字塔が存在するわけですが、媒体やターゲットに大きな差があるとはいえ、『深夜天才バカボン』ではその足元にも及んでいません。
また、アニメでも上で触れた『シンプソンズ』や『ティーンタイタンズGO!』など、ズッと前にはるか上の高みに達した作品を先に目にしてしまうと、斬新さや目新しさは全く感じられません。
結局、『深夜天才バカボン』って面白いの?
この『深夜天才バカボン』、ネットのレビィーなどをつらつら見てみるとあまり評判よろしくありません。そこでよく言われるのが、「テレビのバラエティー番組っぽい」ということです。
確かに楽屋で悪ノリしながらネタを出したような印象があり、そのノリが受け入れられるかどうかでも評価が分かれそうです。
また、この楽屋ノリ的な悪ノリ感ですが『キルラキル』あたりでも感じられたもので、この両作品には制作の中心が演劇畑の人だという共通点があります。
それが演劇畑の人が参加していることによるのかどうかはこの2作品だけでは判断できませんが、他にいくつか例が出てくれば演劇系ギャグの傾向と言ってもいいかもしれません。
結論としては、ギャグとして斬新でもなければ、たいしてレベルの高いものでもないことは確かですが、こういった作風に初めて触れるリスナーならば、あるいは新鮮に感じられ単純に面白がれるかもしれませんし、期待値を上げなければヒマつぶし程度には楽しめるかもしれません。
軽い気持ちで適当に流し見することをオススメします。
【アニメレビュー】アンゴルモア 元寇合戦記|『元寇』テーマの歴史アクションアニメは面白いのか? 《動画配信サービスで全話無料視聴!》
作歴史モノとしてはレアな『元寇』がテーマの歴史アクションアニメ!
なんとなく歴史モノが見たいな…と思った時に、Amazonプライムビデオで以前この作品が見つけて登録しておいたのに気づいて全話見てみました。
『アンゴルモア 元寇合戦記』は元寇(文永の役・1274年)のときの対馬での戦いを舞台にした、たかぎ七彦さんによるマンガを原作にしたアニメ作品です。
『アンゴルモア 元寇合戦記』はどんなお話?
鎌倉幕府によって対馬に流刑されてきた元御家人の朽井迅三郎は、自分たちが蒙古軍と最前線で戦うために流されてきたことを知らされる。
島に続々と攻めてくる千を超える蒙古軍の軍勢に対して、対抗する朽井ら曲者ぞろいの流人達と輝日姫・宗助国はじめとした対馬を統べる「宗氏一族」、さらに“白村江の戦い”時代の防人の末裔「刀伊祓(といばらい)」をも交えて、7日後に来るはずの援軍に望みを託して抗戦していく。
というお話です。
歴史マンガ/アニメ戦国時代を勝ち抜けるか?
「キングダム」をはじめとした作品が商業的な成功を収めて以来、マンガ業界では1誌に1作はあたりまえ、場合によっては1誌に2作以上もの作品を連載されるくらいの勢いで増え続けてきた史実ベースの歴史モノマンガ。『アンゴルモア 元寇合戦記』はその流れで生まれてきた、WEB連載マンガを原作を元にしたアニメ作品です。
最近では、戦国時代,幕末,三国志時代といった何度も使い古された時代/テーマを避けて他の作品とかぶらないように、これまであまり取り上げられることがなかった時代を舞台にする傾向があります。
この作品も続々登場してきたそれらのニッチ系歴史マンガのひとつですが、そういう業界的な事情があるにせよ、あまりテーマになることがなかったレアな時代や舞台を取り上げている点は評価できます。
飽和した歴史モノ!どんなアプローチで攻めるのかが問題!
歴史モノとひとくちに言って、もそのアプローチや切り口はいろいろあります。
『アンゴルモア 元寇合戦記』はどちらかといえば「キングダム」などに近い、史実テーマながらキャラクター造形などはマンガ的ファンタジー要素が強く、派手なバトルアクションをメインにした少年マンガノリの作品という印象ですね。
軍事力や人の数で圧倒的な差がある状況を、外部から来たプロフェッショナルや特殊技能持ちのキャラクターが、地の利や機転・特殊技能を活かして切り抜けていくというストーリーは、大河ドラマ的な史劇モノというよりも「七人の侍」などに代表される定番プロットです。
そのシチュエーションから、森秀樹さんも漫画化した「墨攻」などを思い起こさせたりもしますね。
『アンゴルモア 元寇合戦記』の映像ビジュアルはどうなの!
絵柄については80年代末〜90年代にあふれかえっていた、『アキラ』大友克洋さんに影響を受けた、“大友チルドレン”系のタッチです。
作者はそんなに年季の入ったベテランというわけでもでもなさそうなのに、いまどきこんなタッチをというのも珍しいですが、とりあえず影響受けてますという程度で、特にオリジナリティがあったり画力が高かったりと言うわけもなく、それをほぼそのままアニメ化しているのでビジュアル的な魅力は薄いですね。
主人公始め男性キャラは劇画タッチなのに、女性キャラだけアニメっぽい(それも微妙に野暮ったい)デザインなのも違和感が残ります。
こういう絵こそアニメならではのアレンジをほどこすべきじゃないかととも思うんですが、こういう歴史物の場合は変にイマドキの絵になるくらいなら、このくらいアカ抜けないままの方がちょうどいいのかもしれません。
歴史物を意識してか、和紙っぽいテクスチャーを画面に重ねているのですが、ただエフェクト的に常にキャラから背景まで全体にかかっているので、逆に安っぽく見えるのも残念なところです。
結局『アンゴルモア 元寇合戦記』はオモシロイの?
結論から言うと、何かするついでにながら見したり、他に見るものがなくなった時に倍速で流し見する程度の視聴にはちょうどいい感じですが、じっくり腰を据えて見るほどかというと微妙です。
この『アンゴルモア 元寇合戦記も現在主流の1クール制のシリーズなので、当然のように完結まで持っていけるわけでもなく、一区切りのエピソードだけで終わってしまいます。
また、続きが気になって原作本を買うほどかというと、残念ながらそれほどのものでもありません。
とはいえ、バトルアクション系の作品として一定ラインはクリアしているので、仕事や作業をしながら軽いノリで見る分にはそれなりに楽しめると思います。
VOD(動画配信サービス)を本音でレビュー|Paravi(パラビ)を選ぶ価値はある?
VOD(動画配信サービス)を提灯記事でなくリアルにシビアに語っていくこのシリーズ、今回は『Paravi(パラビ)』を取り上げます。
VODユーザーの期待を集めたParaviの明日はどっちだ?
Paraviは2018にTBS・テレビ東京・WOWOW・日本経済新聞社・電通・博報堂という、日本のマスメディアを牛耳るメンツが結集して始動したVOD(動画配信サービス)です。
これだけの顔ぶれが結集するんですから期待するなという方が無理ですよね。
TBSのお家芸でもあるドラマ、テレ東のアニメと独創性、WOWOWのサブカル力という放送局3社の強みが上手く絡み合えば、Hulu・Netflixに対抗できる存在になるんじゃないかとVODユーザーは大いに注目しました。
まだ結論は出せませんが、今のところ一部のリスナーは満足、多くのVODユーザーはガッカリが止まらないといった状況です。
Paraviは「TBSオンデマンドプレミアム」なのか問題!
今のParaviの存在はどのVOD(動画配信サービス)にイチバン近いのかというと、これは間違いなくFOD(フジテレビ・オンデマンド)プレミアムです。
FODプレミアムはフジテレビが単独運営するVODですが、Huluのようなあらゆる作品が楽しめる総合型VODではなく、フジテレビ作品に特化した自社のオンデマンド部門とでもいったコンセプトになっています。
残念ながらParaviの現状は、単なるそのTBS版とでも呼ぶべき存在に過ぎないんです。
《Parabi(パラビ)》の基本情報
月額料金(税抜):925円
ポイントバック:300円分
無料トライアル:30日間
配信システム:定額配信+有料レンタル
作品数:8,000本以上
配信ジャンル:オールジャンル
独自ジャンル:音楽ライヴ,WOWOWネットテレビ(有料)
提携/関連TV局:TBS,テレビ東京,WOWOW
レンタル料金目安:映画…400円~500円,ドラマ・アニメ…300円〜
同時視聴:不可
ダウンロード視聴:可(一部作品のみ)
倍速視聴:不可
最高画質:HD
決済方法:クレジットカード,キャリア決済(docomo/au/ソフトバンク/ワイモバイル)
Paravi|システム/スペックはどうなの?
ParaviはVODとしての最低限の機能/スペックは備えていますが、ミドルクラスで格安とは言えない料金を考えると、その完成度や満足度はお世辞にも高いレベルにあるとは言えません。
視聴デバイスは5台プロフィールは7人まで登録できながら同時視聴はできない、ダウンロードは可能だが一部の作品のみに限られる、UI(ユーザーインターフェース)が人によっては使いづらいなど詰めの甘さが目立ちます。
また、毎月レンタルチケット(300円分)が配布されるのはうれしいのですが、映画の旧作でも400円必要なので実際のところ毎月新作どころか旧作1本スラ見ることができず、「無いよりマシ」程度なのも残念なポイントです。
➡最低限はクリアしているが、積極的に評価できる部分はない?!
Paravi|コンテンツはどうなの?
Paraviは先に触れたように、現時点ではTBSのドラマとバラエティだけが看板コンテンツとなっていて、それ以外のコンテンツ映画・アニメ・ドキュメンタリーなどでは他のVODに大きく見劣りします。
当初からテレ東の影は薄かったものの、WOWOWの企画力は映画などの配信に反映されていました。
しかし、早い段階でそういった放送3社コラボによる充実したコンテンツみたいな当初の期待は失われ、配信のペースも大きく落ちてしまいました。
Paraviのインターフェース上でWOWOWで独自にリアルタイム配信(有料)をスタートしたことで、定額配信は単なる「TBSオンデマンド」と化してしまいそうです。
海外作品やオリジナル作品といったVODの本来の魅力と言える部分では大きく遅れを取っていますし、他社と差別化をはかれるような独自性にも欠けています。
TBSドラマファンにとっては夢のようなVODかもしれませんが、それ以外の人には物足りないでしょう。
➡ほぼTBSドラマ専門チャンネル! 他のジャンルは壊滅的!
Paravi|コスパはどうなの?
FODプレミアムと同様に看板コンテンツが運営局TBSの作品のみという状況なので、それに魅力を感じられるリスナーであれば多少は納得できる余地があります。
それでもコストパフォーマンスは決して良好とは言えず、ましてTBS作品や国産コンテンツへの興味が薄いリスナーにとっては、全く持って価値が見出せないVODでしょう。
若干ながら他ではまず配信されないレアな作品に価値を見出せますが、それも無料トライアルだけで十分なボリュームです
➡いろいろなジャンルの作品を見たい人にはコスパは微妙!
Paravi|メリットデメリットをまとめてみた!
メリット|Paraviのここが魅力!
● TBSの名作ドラマとバラエティ
● 有料オプションだがWOWOWをブラウザーやアプリで視聴できる
デメリット|Paraviのここが微妙!
● 同時視聴ができない
● TBS作品以外がほぼ全滅
● コスパが良くない
Paraviをオススメできるのは、TBSの番組を見たくて仕方がない人と、ネットでWOWOWを見たい人に2種類に限られます。
WOWOWの放送を視聴するのためには、ケーブルテレビやBSに加入する必要があります。
ネットテレビでWOWOWを見れるのは今のところParaviだけなので、余計なコストをかけずにインターネット環境だけでWOWOWが見たい人にとっては、Paraviが唯一の選択肢になります。
それ以外のリスナーにとっては、あえてParaviを選ぶメリットは見当たりません。
➡WOWOWをネットテレビで見るにはParaviが唯一の手段!
総評|Paraviのまとめ!
スタートから1年を迎えて、“TBSオンデマンド配信”としての定額配信と、追加料金を払っての“WOWOWのネット視聴”という2つの方向性に固まったようです。
多くのリスナーは、放送3社の個性がうまく絡まって活性化するのを楽しみにしていたと思うのですが、船頭が多すぎたのか他の事情かわかりませんが、期待とは大きくかけ離れた落とし所となりました。
多ジャンル充実の総合型VODとは立ち位置が全く異なり、TBSやWOWOWを必要としているユーザーのみが利用するという形で棲み分けることになりそうです。
HuluやU-NEXTに迫る存在になれるポテンシャルがあったのに、フジテレビ特化型のFODプレミアムと同じようなポジションに落ち着いてしまったので、各ジャンルが充実した総合型VODに興味のある人や利用中のリスナーがあえて注目するような存在ではなくなりましたね。
➡現時点では残念ながら期待外れの結果としか言えない!
VOD(動画配信サービス)を本音でレビュー|Netflix(ネットフリックス)を選ぶ価値はある?
VOD(動画配信サービス)を提灯記事でなくリアルにシビアに語っていくこのシリーズ、今回は『Netflix(ネットフリックス)』を取り上げます。
ワールドワイドな超国際派VOD?
Netflixはアメリカに拠点を持地、世界規模で展開するVOD(動画配信サービス)。日本でもHulu,Amazonプライム・ビデオと並ぶ三代外資系VODのひとつとして知られています。
日本独自の作品もラインナップしつつもあくまで海外作品を主戦力にしていて、日テレ傘下で日本向けに大きくローカライズされているHuluとも、定額配信だけではない総合サービスの一環であるAmazonプライムビデオとも一線を画しています。
Netflixが強気すぎる理由は?
Netflixは、他のVODが長年変わらぬ月額両金額を維持していて、低料金のところも増えている中で単独で料金値上げに踏み切りました。
その理由はやはりコンテンツ力に対する自信でしょう。
実際、他のVODと違ってニュースで配信作品が話題になることも度々ですし、あげくはオリジナルドラマでアカデミー賞にノミネートされるなど勢いづいているわけですから強気もうなづけるところです。
《Netflix(ネットフリックス)》の基本情報
月額料金(税抜):ベーシック800円/スタンダード1,200円/プレミアム1,800円
無料トライアル:1ヶ月
配信システム:完全定額制
作品数:10,000本以上
配信ジャンル:オールジャンル
独自ジャンル:オリジナル作品
提携/関連TV局:ー
同時視聴:ベーシック…1/スタンダード…2/プレミアム…4
ダウンロード視聴:不可
倍速視聴:可
最高画質:HD
決済方法:クレジットカード/デビットカード,キャリア,プリペイド etc
備考:2018年9月料金改定
Netflix|システム/スペックはどうなの?
Netflixは定額配信サービスの中で唯一複数の料金プランがあるVODです。
高額プランなら業界最高水準のスペックを利用できますし、こだわる必要が無ければかなりの低料金で利用できます。世界的なVODだけに機能面でも不足ありません。
数少ないそして大きな最たる難点といえば、“倍速再生ができない”こと。
これについては、ほとんどのVODが対応できていない機能なので決定的なデメリットとは言えないですが、Netflixならやってくれると期待していただけに残念です。
➡スペックは基本的に高めだが料金プランによって差がある!
Netflix|コンテンツはどうなの?
Netflixのコンテンツの大きな特徴は、メジャー作品や国産コンテンツを重視するVODが多い中、あくまで“オリジナル重視”“海外重視”を貫いていること。
もともとVODといえば、「地上波に満足できないリスナーの最後の砦」的な要素も強かったわけですから、リテラシーの高いリスナーがNetflixに注目しているのは納得です。
とはいえ、それは一般リスナーやビギナーにとっては敷居が高くなることにもなります。
いくら「こちらが世界標準」だと言っても、ガラパゴス化した日本ではマニアックと言われても仕方がありません。
そのためか、ジャンルもSF,ホラー,ファンタジー,カルトなど開き直ってマニアック路線を突き進んでいる気配もあるので、好みが分かれるのは仕方ないかもしれません。
➡海外派&マニアックなリスナー向け。一般層リスナーには厳しいかも?
Netflix|コスパはどうなの?
値上げしたとはいえ、これだけオリジナル作品をリリースし続けるのは、コンテンツが命のサービスとはいえ評価に値します。
Netflixのカラーが肌に合えば、十分料金以上に楽しむことができるでしょう。
最大同時視聴数も多いので、シェアできればお得度はさらに格段にアップします。
➡配信作品が好みに合えばコスパは良好!
Netflix|メリットデメリットをまとめてみた!
メリット|Netflixのここが魅力!
● 海外作品が充実
● オリジナル作品が充実
● 3段階から選べる料金プラン
デメリット|Netflixのここが微妙!
● マニア度が高くリテラシーが必要なので人を選ぶ
● 国内作品が弱い
● 作品数が少ない
はっきり言って、作品数自体は下から数えたほうが早い少なさなので、カラーが合わないと選択肢は極端に限られてしまいます。
好き嫌いが極端に分かれるので、万人にお勧めできるとはとても言えませんが、ハマれる人や他では満足できないリスナーにとってはオアシスとなるかもしれません。
➡他のVODで満足できなければ試してみる価値あり!
総評|Netflixのまとめ!
Netflixはとにかく日本人向けにチューンされていない部分も多のでVODの中でもとびきりクセが強いのは間違いありません。
しかし、保守的なVODが多い中で意欲的に独自のコンテンツを続々と生み出す姿勢は評価できます。
リスナーを選ぶだけでなく、作品数の少なさなどの欠点もありますが、伸び代も大きく今後の展開が最も楽しみなVODである事は間違いありません。
今の時点でひとつ気になる傾向は、比較的ハズレの作品が少ない反面、コレは!と言えるような大当たりも少ない印象があること。
いい作品も多いだけにもう少しアベレージが上がればと考えるのは、リスナーならば欲張りすぎとも言えないでしょう。
➡満足度も将来性も高いが、リテラシーが要求されるかも?
VOD(動画配信サービス)を本音でレビュー|au(エーユー)ビデオパスを選ぶ価値はある?
VOD(動画配信サービス)を提灯記事でなくリアルにシビアに語っていくこのシリーズ、今回は『au(エーユー)ビデオパス』を取り上げます。
動画なんかついでですよ! 偉い人にはそれが…
auビデオパスはおなじみauが運営するVOD(動画配信サービス)です。
つまりdocomoにおけるdTVのようなものですが、dTVと違ってつい最近までanキャリアユーザー限定のサービスでした。
2018年からauKDDI系のECサイト「Wowma!」の無料アカウントau ID(Wow!IDから名称変更)を利用することで、ようやくauユーザーでなくても加入できるようになりました。
VODには、見放題の動画コンテンツに自信があってそれのみで勝負するタイプと、動画見放題だけでは勝負にならないのでレンタルポイントバックなどの付帯サービス/特典でユーザーを集めるタイプがありますが、auビデオパスは典型的な後者です。
ただ、ユーザーによってはその特典のメリットがあまりにも驚異的なので、動画など見なくて加入しておく価値があると言うレベルに達していて見逃せません。
《auビデオパス》の基本情報
月額料金(税抜):562円
ポイントバック:540円分
無料トライアル:30日間
配信システム:定額配信+有料レンタル
作品数:7,000本以上
配信ジャンル:オールジャンル
独自ジャンル:ー
提携/関連TV局:テレビ朝日
レンタル料金目安:映画1タイトル 200~500円〈期間2日~3日〉
同時視聴:不可
ダウンロード視聴:可
倍速視聴:不可
最高画質:HD(SDのみの作品もあり)
決済方法:au ID(カード),au決済
付帯サービス/提携サービス:映画館料金割引(最大1,400円引き)
付帯サービス特典ではAmazonプライムビデオと並ぶ最強クラス!
動画配信以外のサービスが充実したVODの最高峰といえば、何と言ってもAmazonプライムビデオにつきますが、auビデオパスも方向性は違うもののある面ではそれに匹敵するものがあります。
auキャリア限定特典の全国のシネコンで使えるauの映画割引サービス『auマンデイ』『auシネマ割』は、スマホ/携帯キャリア系の特典の中でも最も魅力的な人気サービスのひとつ。
auビデオパスは、加入するだけでこのお得な映画割引を利用できます。
『auマンデイ』はTOHOシネマズで月曜日が700円割引、『auシネマ割』はユナイテッド・シネマで毎日400割引。さらに1度につき2名まで利用できるので、なんと1回あたり最大1,400円分の割引になります。
映画ファンならこれだけでも加入する値打ちがあるというものです。
Wow!ID(無料)が必要
料金の決済はauKDDI系のECサイト「Wowma!」のアカウントWow!IDが必要です。Wow!ID登録は完全無料なので余分な費用はかかりませんが、クレジットカードの登録が必要になります。
auビデオパス|システム/スペックはどうなの?
配信スペックや機能は必要十分レベルはクリアしていて、特に優れたところはありませんが、同時視聴ができないくらいで大きな欠点もありません。
サイトのインターフェースはやや不親切で詰めが甘く感じます。au関連のWebサービスのリンクなどもありますが、全てひとつのインターフェースで利用できるようにできれば、auユーザーには便利になるでしょう。
➡スペックは必要十分程度。UIの作り込みがイマイチ!
auビデオパス|コンテンツはどうなの?
auビデオパスの作品数の少なさは業界でも最下位クラス。
あえて言えばテレビ朝日と提携しているのが強みですが、それも現時点ではラインナップに独自性を持たせたり大きく底上げするものではありません。
同じ価格帯という意味ではAmazonプライムビデオとdTVがライバルとして浮かびますが、その2つと比べても作品の数や独自性では見劣りしてしまいます。
ましてや、HuluやU-NEXTなどの作品充実度が高いVODには、とても手も足も出ません。
配信コンテンツだけで判断するなら、数あるVODからあえてauビデオパスを選ぶ理由はありませんが、配信作品は比較的ハズレが少なく質が高めなので、加入してみても損したと感じることもないでしょう。
➡作品数が少なく独自性も薄いが作品クオリティは高水準!
auビデオパス|コスパはどうなの?
この貧弱なコンテンツに料金を払うと考えると納得できませんが、実際はポイントバックでほぼ料金無料になるので、毎月1~2本動画レンタルすることで動画見放題や劇場割引が無料で利用できるシステムと考えればかなり優れもの。
新作映画が1本500円というのはレンタルショップと比べる割高に感じますが、VODのレンタルサービスとしては標準的な金額です。
しかも、さらにシネコン劇場割引『auマンデイ』『auシネマ割』が加わるわけですから強力です。
映画館を利用しない人には全くメリットがありませんが、映画ファンなら毎週のように劇場通いする人も珍しくありません。
月イチペースとしても、最低でも1,200円,最高で5,600円の節約になりますし、さらに使えば使うほどお得はアップします。
このメリットを考えれば、見たい配信動画なんて無くても加入しておく価値は十分すぎるほどです。
➡動画以外のサービスが強力なのでコスパは無限にアップする!?
auビデオパス|メリットデメリットをまとめてみた!
メリット|auビデオパスのここが魅力!
● 料金が格安
● 料金ビデオコイン(レンタルポイント)配布
● シネコン料金が大幅割引になる
デメリット|auビデオパスのここが微妙!
● 作品が少なくコンテンツに魅力が薄い
● 同時視聴ができない
先に解説したように、コンテンツを重視するなら評価できるポイントはあまり見当たりません。
努力のあとも見えないわけではないですが、他の作品満足度の高いVODと比較してしまうと、いくら格安の料金とはいえメリットを見いだすことは困難です。
一方で、ポイントバックと劇場割引は活用できれば、この上ないほど力強い存在となります。
映画ファンにとっては最強サポートサービスのひとつになってくれることでしょう。
➡映画ファンなら付帯サービスだけでも加入する価値あり!
総評|auビデオパスのまとめ!
VODの中には動画コンテンツで勝負するのではなく、付帯サービス/特典に全振りして付加価値を高めてるところも少なくありません。
auビデオパスはその最たるもので、極端なことを言えば見放題の動画なんか見なくても十分に料金以上の値打ちがあるくらいの、まさに付帯サービス特化型とでも呼ぶべきVODです。(Amazonプライムビデオなどは作品充実度もそれなりに高い。)
他のVODに加入しているユーザーでも、毎月何作かレンタルを利用するのならポイントバックだけで元を取れますし、月イチ以上のペースで割引対象の劇場に通えるならば、是非とも加入して格安料金で映画を楽しみたいものです。
私もそこそこ劇場で映画を見る機会がありますが、auキャリアでは無いのでauビデオパスの劇場割引には助けられています。
auキャリアユーザー以外の映画ファンならば、とりあえず加入しておくべき。と言い切ってしまいましょう。
➡映画ファンなら加入してドンドン劇場映画を見に行こう!