【アニメレビュー】アトム ザ・ビギニング|ロボットアニメのレジェンド『鉄腕アトム』のプリクエル!《動画配信サービスで全話無料視聴!》

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マンガ界でも指折りのストーリーテラーと個性派絵師による職人タッグが作り上げる、独自のアプローチによる歴史的名作『鉄腕アトム』のプリクエル!!

アトム ザ・ビギニング』はマンガ界のレジェンド「手塚治虫」さんの『鉄腕アトム』を原案にした、アトムのプリクエル(前日譚)となる同名マンガのアニメ化作品です。

パトレイバー』などで知られるベテランの職人マンガ家で、ストーリーテラーとしても名高い「ゆうきまさみ」さんが原作、主に原作付きのコミカライズで活動している「カサハラテツロウ」さんが作画を担当しています。

アトム ザ・ビギニング』はこんなお話!

アトム ザ・ビギニング』は、アトムの生みの親と育ての親である「天馬博士」と「お茶ノ水博士」の若かりし頃を描いた前日譚。大学でロボットと人工知能を開発する「天馬午太郎」「お茶の水博志」とアトムのプロトタイプともいえる「A-106」の活躍を描きます。

原作はまだ物語が進行中ですが、このアニメシーズン1では2人の大学での研究生活〜ライバル的な存在の「Dr.ルル」とロボットの「マルス」の登場〜ロボレス大会でのロボットバトルまでが描かれます。

 原作シリーズ序盤〜「ロボレス編」までを1シーズンでアニメ化!

原作は『ウルトラマン』や『仮面ライダー』を始めとしたコミカライズ作品を中心に掲載して、高く評価されたりバッシングされたりしている、パチンコタイアップ雑誌「月刊ヒーローズ」の連載作品。

SFマインドの強いストーリーテラーとして、また設定/プロット職人としていくつものよく練られた完成度の高い作品を生み出してきた、ベテラン「ゆうきまさみ」さんと、やはりSFマインドとマニアックなコダワリを持ちアニメ的な萌えとは一線を画したカートゥーン的なセンスを持った「カサハラテツロウ」さんとのタッグということもあり、近年幅を利かせている旧作リブート系コミカライズの中でも一筋縄ではいかない作品です。

 リメイク/リブート系では数少ない成功例!?

近年はマンガ業界のアイデアの枯渇もあって、歴史的名作のコミカライズ/リメイク/リブート作品が花盛りですが、「リメイクすればいいってもんじゃない!」と言いたくなるレベルのものも多数で、むしろハズレのイメージが強くなっています。

そんな微妙な作品も次々アニメ化されている状況なのですが、そんな巷にあふれるコミカライズ/リメイク/リブート作品のなかでは、この『アトム ザ・ビギニング』は数少ない単なる企画モノを超えた、いち作品としての面白さを持ったシリーズと言っていいでしょう。

初期数話はキャンパス舞台の学園モノ的な色合いが強く、やや単調で展開が遅い印象がありますが、中盤からシーズンのクライマックス「ロボレス編」はわかりやすいバトル要素が加わったこともあって、飽きさせない安定した面白さです。

アトム ザ・ビギニング』は結局のところ面白いの?

鉄腕アトム』そのものを期待すると肩透かしを食らうかもしれませんが、『鉄腕アトム』につながる要素や手塚ファンならわかるネタも巧みに散りばめてあり、のちの「天馬博士」と「お茶ノ水博士」の対立を感じさせる価値観の違いなどもエピソードに描かれているのも見所。

1シーズンだけなので完結には程遠いですし、あまり人気は出なかったようなので続編も難しいでしょうが、区切りのいいところで切っているのでシメ方としては悪くありません、

鉄腕アトム』そのものにこだわらないキャパシティーの広いリスナーなら十分に楽しめる仕上がりなので、原作ともども一見の価値はありますし、個人的には、同じ『鉄腕アトム』リメイク作である浦沢直樹さんの『PLUTO』よりも、はるかに野心的で完成度の高い作品だと思います。